台風19号による浸水被害で廃棄せざるを得なくなった電動ベッド=23日午後、足利市稲岡町

 台風19号の影響で足利、佐野の両市を流れる旗川があふれ、川沿いにある障害者支援施設も大きな被害を受けた。足利市稲岡町の「愛光園稲岡事業所」ではクリーニング工場などが再開したものの、23日も職員らが清掃などに追われた。全ての復旧には半年以上かかる見通しという。佐野市小中町の「とちのみ学園」では、床上浸水した1階の入所者が施設内のホールで寝泊まりする生活が続いており、作業所も再開できていない状況だ。

 「トラックで(災害ごみの仮置き場に)10往復はしたが、まだまだ」

 愛光園稲岡事業所の川俣聡司(かわまたさとし)所長(33)はため息をついた。同事業所は一帯が約50センチ床上浸水し、電動ベッドとエアコンが各20台、車や床、非常用電源装置などが被害を受けた。

 台風が本県に接近した12日午後8時半。水位は床上に迫り、エレベーターは故障した。重度の身体障害の入所者ら18人を、職員が抱え上げて1階から2階に移動した。幸い人的被害はなかった。

 ベッドなど最低限の備品を急ピッチでそろえ、19日には別の施設に避難していた入居者を戻すことができた。大型洗濯機などが並ぶ敷地内のクリーニングの作業所は一部を補修し、21日から本格的な再開にこぎ着けたが、川俣所長は「施設全体の修繕、復旧にはまだまだかかる」と現状を説明した。

 「寝泊まりの形は、避難所と同じです」

 主に知的障害者を支援するとちのみ学園の横塚直子(よこづかなおこ)副施設長(65)が苦しい心境を語る。食堂や風呂は使えるようになったが、1階の入所者ら約30人は施設内にある約200平方メートルのホールにベッドや毛布などを持ち込み生活している。

 旗川があふれ、敷地内が約50センチ浸水、20センチほどまで大量の泥が建物内に堆積した。地域の企業や高校生のボランティア、自衛隊らの協力で泥出しは進んだが、1階のほぼ全てのベッドや床、壁などが駄目になった。

 菓子用の箱などを作る作業所も被害に遭い、片付けや消毒作業が続く。しいたけの原木約200本も使えなくなった。

 衛生面の不安もあり、床などは全て張り替えざるを得ない。「復旧は来年度ぐらいまでかかるかもしれない。こつこつやっていくしかない」と、横塚副施設長は見据えている。