大勢の地域住民が集まった避難所。日没前の移動を心掛けたい=12日夜、宇都宮市内

県県民生活部危機管理課が作成し、県民に活用を呼び掛ける防災チラシ

大勢の地域住民が集まった避難所。日没前の移動を心掛けたい=12日夜、宇都宮市内 県県民生活部危機管理課が作成し、県民に活用を呼び掛ける防災チラシ

 台風19号は県内で4人の尊い命を奪い、各地に深刻な被害をもたらした。いつ、どこで起こるか分からない自然災害の脅威。命や健康を守るために、どんな備えや心構えが必要なのだろうか。専門家らに聞いた。

避難

 避難途中に命を失った人が相次いだ今回の台風では、自主的な判断の難しさが浮き彫りとなった。防災マネジメントを専門とする宇都宮大地域デザイン科学部の近藤伸也(こんどうしんや)准教授は「早ければ早いほどいい」と、台風接近前の日中のうちに避難する大切さを訴える。

 「浸水時は日中でも道路や田、用水路が区別しにくい。夜はなおさら」と近藤准教授。水害での死亡例の多くは夜間の移動時だとして「日没前の行動が命を守る鍵になる」と強調する。

 夜間の避難を回避しようと、近年は自治体も早期に避難準備情報を発令する傾向となっている。「明るいうちに出されることが多い『警戒レベル3』の段階で避難を始めるべきだ。『警戒レベル4』では、既に災害が起きているかもしれない状況だ」

 自宅に残るか、立ち退いて避難するか、迷う人も多いだろう。判断の目安となるのが、自治体が作成するハザードマップ。「浸水予想地域では、水深にかかわらず、基本的には立ち退いて避難した方がいい」と近藤准教授。2018年の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市でも、実際の浸水区域とハザードマップの想定は、ほぼ等しかったという。

 ただ、ハザードマップで危険地域に指定されていなくてもリスクはある。今回の台風でも、足利市内で起きた乗用車水没死亡事故の現場は浸水想定区域外だった。近藤准教授によると、周囲と比べて低い土地や近くに大河川の支流、用水路が流れている場所は浸水の危険性が高いという。

 「浸水時には、水は『たまる』のではなく『流れる』。それほど深くなくても歩行は困難になり、『これくらい大丈夫』と安易に移動するのは非常に危険」。安全なタイミングで避難できなかった場合は、屋内の上層階にとどまった方が良いそうだ。

 近藤准教授は「防災においては『あの時、大丈夫だったから』と経験が足を引っ張ることがある。栃木は災害の起こらない県ではないと分かったはず。一人一人が意識し、防災準備をしてほしい」と呼び掛ける。