猛暑も去り、キンモクセイの香りと肌寒さに包まれる10月中旬。宇都宮市役所近くの路地で、ちょうちんの赤い光に誘われて引き戸を開けた。
来店するのは今年の5月以来。さっそく店主の吉子(よしこ)さんが薦める唐揚げ(税抜き450円)とモツ煮込み(同400円)を注文する。併せておしんこ(時価)もお願いした。
絶品の唐揚げの味付けを聞くと、吉子さんは「企業秘密」と笑った。1人前10個というボリュームにも驚く、スパイシーでカラッと揚がった唐揚げ。ビールを片手に、口に放り込んではグビッといく。
モツ煮込みは数回、ゆでて臭みを取り、とろけるような柔らかさになるまで5時間ほど煮るという。油が浮くことなく、透き通っているのが自慢なのだとか。あっさりした味わいで、お客さんからの評判が高いのもうなずける。
そのほか串ものはテークアウトも可能だ。中でも人気の牛ハラミは「いいものが入らないと出さない」(吉子さん)。この日はありつけなかったが、次回に期待しよう。
店は25年ほど前に吉子さんが開店し、今に続くという。本格的な寒さが増す中、酒が進み心と体が暖まる、家庭的な味と空間に落ち着いた。
メモ 宇都宮市松が峰2の3の5第2チサンマンション1階▽営業時間 午後5~11時▽定休日 日曜、祝日▽(問)028・636・9846