4年間で2度の床上浸水に遭った大森さん。今回の水位を指さし、浸水の恐怖を口にした=15日午後、栃木市大平町真弓

4年間で2度の床上浸水に遭った大森さん。今回の水位を指さし、浸水の恐怖を口にした=15日午後、栃木市大平町真弓

4年間で2度の床上浸水に遭った大森さん。今回の水位を指さし、浸水の恐怖を口にした=15日午後、栃木市大平町真弓
4年間で2度の床上浸水に遭った大森さん。今回の水位を指さし、浸水の恐怖を口にした=15日午後、栃木市大平町真弓

 台風19号の被災者には、2015年9月の関東・東北豪雨に続いて被害に遭った人もいる。栃木市大平町真弓、大森義男(おおもりよしお)さん(79)と逸子(いつこ)さん(75)夫婦は、4年前の被害で改修した家も、買い替えた車も再び濁流にのみ込まれた。「なぜ自分たちが…。住まいをなんとかしないと」。精神的、経済的な負担が、夫婦に重くのしかかっている。

 「ゴポゴポ」。12日深夜、自宅の勝手口から音が聞こえた。大森さんが駆け付けると、自宅内に水が流れ込んでいた。水かさは急激に増し、数分で腰の高さまで迫った。「音がする5分前まで、庭にすら水がたまっていなかったのに」。大森さんは息をのんだ。

 夫婦は着の身着のままで脱出を試みたが、玄関の扉は水圧で開かなかった。縁側から出て、はしごで塀をよじ登り屋外へ。必死で小高い土地に逃れた。近くの赤津川があふれ、低地の自宅に流れ込んでいた。

 水が引いた後、自宅に戻ると、室内は泥まみれだった。外壁には、大森さんの身長161センチより高い位置に水の跡が残っていた。4年前の関東・東北豪雨時の跡を、2倍以上超えていた。自家用車2台は少し高い場所に移動していたが、4年前と同様、水没した。

 「もう少し逃げるのが遅ければ死んでいた」。大森さんは改めて恐怖を感じたという。

 被災後、市内の知人宅に身を寄せたが、逸子さんは水が迫る恐怖にうなされ、眠れないという。「2人で死のうか」「そんなこと言うな」。夫婦でそんなやりとりもした。支えてくれたのは、水をかぶった家具や汚泥の処理を手伝ってくれた家族や親族、知人。逸子さんは「人のつながりに助けられている。生きなきゃいけない」と声を詰まらせた。?

 生活再建の見通しは立たない。4年前の水害から立ち直るまで、2年の歳月と約600万円の費用が掛かった。それらを再び失った。夫婦の頭には、2人の子どもを育てた思い出の場所を離れる思いもよぎる。

 「何も望まないが、被災者を市営住宅などに優先的に入らせてほしい。住まいがないと、どうしようもない」。大森さんは言葉を絞り出すように訴えた。