県内企業の被害も大きい。一時は工業団地一帯が冠水し、被害が集中した足利市迫間町などの毛野東部工業団地(11社)。企業によっては製造ラインにまで浸水した工場もあり、「こんな被害は初めて」と立地企業幹部は肩を落とした。
自動車プレス部品製造の佐藤金属工業は本社事務所と二つの工場が高さ約70センチまで浸水し、プレス機などに被害を受けた。佐藤国生(さとうくにお)相談役は「機械の電子制御系統やモーターなどに水が入った」と言い、起動するにはメンテナンスが必要だという。「自動車メーカー向けの在庫は3日分しかない。メーカーへは供給を止められない。協力企業に応援を求めている」と話した。
自動車部品塗装の石原は約30センチの浸水だが、特殊なシステムの塗装室に水が入った。石原智己(いしはらともみ)社長は「特別な機械なので専門の業者が来るまで操業再開のめどが立たない」という。
通信系統が復旧せず、各種データを内外でやりとりできない工場もあるなど、被災企業の関係者は不安を募らせている。
県内では、カワチ薬品(小山市)が栃木市の箱森、祝町、大平の各店と、佐野市の佐野赤坂店を休業。元気寿司(宇都宮市)は断水の影響で烏山店が休業した。
金融機関は、栃木、佐野の各信用金庫や足利銀行の現金自動預払機(ATM)が一部休止するなどしている。