放水して苗に付いた泥を洗い流す島田さん=15日午後、佐野市

豪雨と氾濫した川の水の影響で倒壊したイチゴのハウス=15日午後、鹿沼市久野

放水して苗に付いた泥を洗い流す島田さん=15日午後、佐野市 豪雨と氾濫した川の水の影響で倒壊したイチゴのハウス=15日午後、鹿沼市久野

 記録的な豪雨を伴い東日本を直撃した台風19号の影響で、51年連続生産量日本一を誇る本県のイチゴにも甚大な被害が出ている。河川や農業用水路の氾濫などで佐野や栃木、鹿沼市など、県内各地でハウスの損壊や浸水で苗が水をかぶる被害が続出。今期の収穫を絶望視する農家もいる。本格的なイチゴのシーズンを前に、関係者からは出荷への影響を危惧する声が出ている。

 鹿沼市久野、農業大越正啓(おおこしまさひろ)さん(69)のイチゴのハウスを、増水した思川の水が襲った。鉄骨の連棟ハウスなどが水のいきおいで倒壊した。作付けする約32アールのうち、半分近くがハウスの倒壊に遭い、残りは苗が泥をかぶった。

 10月下旬に花が咲き、11月中旬には出荷する予定だった。「今年は順調だったのに…」。自宅も床上1メートルほど浸水し、生活を立て直そうとする中、イチゴにはまだ手を付けられない。長男の秀紀(ひでのり)さん(41)は「全滅に近い。今後のことを考えるのが怖い」と漏らした。

 川の氾濫で広範囲が浸水した佐野市内も被害は深刻だ。

 同市村上町、農業島田博之(しまだひろゆき)さん(51)のハウスには、付近を流れる出流川から水が流れこんだとみられる。約40アールで栽培する苗全てが一時、泥水の下に沈んだ。「ここまでひどい水害は経験がない。苗が病気にならないか心配」と無念さをにじませる。

 15日は家族ら8人がホースで1株ずつ、苗に付着した泥を洗い流す作業に追われた。経験のない事態で、全てが手探りの状態だが、「待っていてくれる人たちにおいしいイチゴを届けられるよう、最善を尽くしたい」。

 約210アールでとちおとめやスカイベリーを生産する同市植下町の「佐野観光農園アグリタウン」は、6割ほどの苗が水につかった。苗を消毒するなど、復旧には10日から2週間ほどかかるという。担当者は「12月のオープンに間に合わせたい」と対応を急ぐ。

 「被害の規模は調査中で分からない。見当もつかない状態」とJA佐野の担当者。本県全域を襲った豪雨被害に、農業関係者は不安を募らせている。