江川の氾濫の影響で倒壊したイチゴのビニールハウス=13日午前、さくら市金枝

 台風19号の影響で13日、県内全域で次々と農業被害が明らかになった。県によると、各地でイチゴやニラ、アスパラガスやシュンギクなどを栽培するビニールハウスに、河川の氾濫で水や土砂が流入。ハウスが全壊や一部損壊したり、苗が水をかぶったりした。県南部を中心に稲刈り前の水田が冠水するなどした。水害は広範囲にわたり、自治体の担当者は「被害状況がつかめない」とこぼしつつ、確認作業を急いだ。

 さくら市金枝では、地区内を流れる江川の水があふれ、広範囲の田畑に水が入った。イチゴやニラ、シュンギクなどのビニールハウスが倒壊。田んぼの土手は崩れ、上流から流れてきたとみられる丸太や木の枝などが散乱した。

 同所、農業三本木勇(さんぼんぎいさむ)さん(72)は、約120アールのシュンギクのハウスが被害を受けた。「昨夜から水があふれ出した。この地区は大水が出ることが多いがここまで被害が広がったのは初めて。収穫を待つばかりだったのに全滅です」

 鹿沼市楡木町、農業田中和彦(たなかかずひこ)さん(65)のイチゴのビニールハウスでは10棟に水が流れ込み、苗が水に漬かった。田中さんは2015年9月の関東・東北豪雨でも被災した。「前回は苗ごと流された。苗が残っただけでも幸い」と復旧作業を急いだ。栃木市内のイチゴ農家でもビニールハウスが浸水。農業男性は「根が腐る可能性もある」と不安げな表情を浮かべた。

 那須塩原市や小山市、茂木町などの数軒の畜産農家で牛舎が浸水したほか、県東部で和牛など二十数頭が流される被害もあったとみられる。

 秋山川が決壊した佐野市農政課の担当者は「水没した範囲に近づくこともできず、被害が把握できない」と途方に暮れた。周辺はイチゴ農家が多く、苗が水をかぶった恐れが高い。「過去最大の被害かもしれない。調べるのが怖いくらいだ」と声を落とす。

 足利市や栃木市もイチゴの苗や刈り取り前の稲などが被害を受けた。市の担当者は「あふれた水が引かず、被害の全容はつかめていない」と調査に追われた。