那須塩原市の東北自動車道や国道4号から見える蛇尾川は、伏流水となって地下を流れるため、普段は川底をさらしている。だが13日の朝は、黄土色の水が白いしぶきを上げていた▼12日から13日にかけ、東日本で猛威を振るった台風19号。各地で堤防の決壊が相次いだ。千曲川、信濃川など国内有数の大規模河川の水もあふれた様子を見ると、未曾有の災害、という言葉しか思い浮かばない▼県内でも、北は那須町から南は佐野市まで、20河川の36カ所で堤防決壊または氾濫が起き、住民に甚大な被害をもたらした。広範囲で住宅が泥水に漬かった写真や映像には心が痛む▼河川工学が専門の池田裕一(いけだひろかず)・宇都宮大教授は、小紙日曜論壇の中で20年前の那須水害や2015年の関東・東北豪雨などを挙げ、それらを新たな視点で見直し、教訓とする重要性を説いている▼洪水防止システムや避難情報伝達、住民行動など、要素は多岐にわたる。教訓は生かされていたのか。また新たな課題は発生していないのか。改めて検証しなければならない▼近年の異常気象を考えると、今回の被害も想定を超えている側面はある。想定外を想定した検証とは、答えのない方程式や禅問答のようだが、これが現実なのだ。だが今、重要なのは被災地、被災者の復旧支援である。全県を挙げて取り組みたい。