後半38分の日本の攻撃。ボーナスポイント獲得となる4本目のトライを目指し、国学院栃木出身のスタンドオフ田村優(たむらゆう)がタッチにキックを蹴り出すと、満員の会場は割れんばかりの大歓声に包まれた。狙い通りにロスタイム、松島幸太朗(まつしまこうたろう)がトライを決めた。
終了間際の劇的な展開。選手たちは跳び上がって抱擁を交わした。中学まで愛知県で育った田村。地元ファンの前で“凱旋(がいせん)勝利”を飾り「どれだけベスト8に行きたいかという気持ちを出せた。ずっと4トライを取るというのが頭にあった」と勝ち点5に納得した。
五輪、サッカーW杯と並ぶ世界三大スポーツイベントの一つとされる「ラグビーW杯」。大会組織委によると、今大会は海外メディア向けに約800枚の取材パスが発行された。
取材経験豊富な彼らにとっても、ホスト国・日本の快進撃は大きなニュースだ。アイルランドの日刊紙「アイリッシュ・タイムズ」記者のギャビン・カミスキーさん(40)は「日本のスピードやタックルの激しさが素晴らしい」と称賛。イングランドのテレビ局「ITV」のリポーター、シェーン・ウィリアムズさん(42)は田村を「メンタルが強いし、リーダーとしてゲームをコントロールしている」とたたえた。
日本は3連勝で8強入りに大きく前進。ウィリアムズさんは「会場は満員で人々はとてもフレンドリー。自分が取材した3大会の中で最高」。祭典はますます盛り上がってきた。(愛知・豊田スタジアム)