制作作業が佳境を迎えている葛生伝承館のフレスコ大壁画

 【佐野】葛生東1丁目の葛生伝承館で、フレスコ大壁画の公開制作が行われている。同館の縦約3メートル、横約23メートルの壁を使った制作作業は2006年から続いており、現在の進行具合は「おおむね8割程度」。今年はついに壁の中心部の作業に差し掛かり、制作作業は佳境を迎えている。

 フレスコ画は、砂と石灰を混ぜて水で練った「モルタル」を壁に塗り、半乾きの状態で上から水で溶いた顔料で絵を描く技法。美しい色を表現できるほか、耐久性にも優れているとされ、欧州では教会の壁画にもフレスコ画があるという。

 同館の壁画制作を担っているのは、いずれも日本画家の戸倉英雄(とくらひでお)さん(42)=京都市=と福島恒久(ふくしまつねひさ)さん(41)=佐野市田沼町。2人は東京芸術大の学生だった00年に同所の「県石灰石工業会館」内の壁にフレスコ画を描いたことが縁で、伝承館の壁画制作も担うことになった。

 モルタルを塗った部分が乾き切らないうちに描いていく必要があり、作業できるのは気温や湿度が安定している春や秋など限られた時季のみ。2人は「佐野の四季」をテーマに、限られた時間で、唐沢山やクリケット場など地元の風景などを描き続けてきた。

 壁の両端から作業を進めてきたが、10年以上の年月を経て、今回ようやく壁の中心部の作業に到達。これまでは竜や花などを添えた幻想的な描写も多かったが、1日に始まった作業では中心部に「狩猟」「戦い」など生活や歴史に根付いた場面を表現するという。