宇都宮市が先日開いた世界アルツハイマーデー記念講演会で、認知症と診断された市民とその家族らが、本音を語り合うDVDが上映された。市職員が同市道場宿の認知症カフェ「オレンジサロン 石蔵」で撮影したものだ▼「普通に接してもらいたい」「周囲の反応が心配で打ち明けられない」などと吐露し、認知症に対する世間の理解はまだ十分ではないことが伝わってきた▼国によると、現在65歳以上の認知症の人は500万人を超し、7人に1人の割合になる。5年後には700万人に達し、5人に1人になるというから人ごとではない▼2012年にオープンした石蔵は、県内の認知症カフェの先駆け的存在である。認知症の人と家族の会県支部と、地域のボランティアが運営している。庭には丹精した花々が咲き、認知症の本人同士や家族が落ち着いて悩みを話し合い、情報を交換できる場となっている▼家族の会代表の金澤林子(かなざわしげこ)さんは「認知症の人への見方は変わってきている」と振り返る。月に3回開かれ、100人程度が利用する。悩みは「本当は週に1度開設したいが人や資金の面で厳しいこと」という▼認知症カフェは今では県全体で50カ所を数える。認知症の本人とその家族が、安心して暮らせる心のよりどころとして、地域や自治体の支援がもっと増えてもいい。