100年ぶりに公開された大作「煉丹」

 【日光】山内の小杉放菴記念日光美術館で、所蔵作品展「日光生まれの仙人画家 小杉放菴 反俗・脱俗・超俗!」が開かれている。昨年、100年ぶりに発見された大作「煉丹(れんたん)」(1917年制作)が、再発見後初めて公開されている。11月4日まで。

 「煉丹」は制作後ほどなくして開かれた放菴の初個展で展示されて以降、表に出ることがなかった。東京・田端にあった放菴のアトリエが太平洋戦争時の空襲で焼失したこともあり、行方はさらに不透明になった。所在が分かったため、日光市が昨年、京都の画商から400万円で購入した。清水友美(しみずともみ)担当学芸員によると「放菴の初個展の出品作が、市場に出回るのは珍しい」という。

 放菴は32歳で渡欧し、パリで江戸時代の文人画家・池大雅(いけのたいが)の「十便図(じゅうべんず)」の複製を見て東洋的な画題に開眼した。帰国後に描いたのが「煉丹」で、それまでの洋画から日本画に軸足を移す時期の作品といえる。仙人が辰砂(しんしゃ)を練って不老不死の妙薬を作っている光景で、米点(べいてん)という点描の技法を用いて樹木を描いているのが特色だ。