「海なし県にいても、新鮮な魚料理が楽しめる」。街の人からうわさを聞きつけ、オリオン通り商店街に7月オープンした魚専門の大衆居酒屋へ足を運んだ。
店長の歌川陽行(うたがわはるゆき)さん(35)と、かつてすし屋を営んでいた歌川さんの父が親子二人三脚で調理場に立つ。魚は毎日、市場で仕入れてさばいている。あらはみそ汁にするなど「魚一本」を食材として使い果たしており、海の恵みを存分に活用している。
「本まぐろ中トロ」(税込み680円)は色があでやかで艶があり、鮮度の良さが一目で分かる。期待に胸を膨らませ、肉厚な刺し身を口に入れると瞬く間にとろけた。脂が乗っている上、ボリュームたっぷりでおなかも心も満たされる一品だ。
酒も進んできたところで、揚げたての「小柱みつ葉かき揚げ」(同380円)が登場。小柱のプリッとした食感と筋の歯ごたえに加え、かむほどにじみ出る甘みがうまみを引き立てる。ほんのり香る三つ葉と添えられたショウガも爽やかで、箸が進んだ。
かつては空き地だった同所。「商店街を活性化させたい」と、斜め前のみそだれの焼き鳥屋の店主神田直樹(かんだなおき)さん(34)が2号店として新たな命を吹き込んだ。夜のオリオン通りには、次世代の力が輝いている。
◆メモ 宇都宮市曲師町2の32▽営業時間 午後4~11時(なくなり次第終了)▽定休日 月曜▽(問)090・8845・3536