「那須野の大地」の第1回公演。住民たちが舞台に立ち、入植した人たちの労苦を描いた=2000年9月、旧西那須野町町民ホール(劇団なすの提供)

 割れんばかりの拍手に沸くカーテンコール。舞台に並ぶ充実した表情の出演者たちも、客席の観客たちも、ほとんどが地元の住民たちだ。会場は一体感に包まれた。

 2000年9月、西那須野町町民ホール(当時)で行われた創作劇「那須野の大地」第1回公演は昼と夜の2回ともほぼ満席、計900人が来場し、盛況のうちに幕を下ろした。

 上演は、旧西那須野町が開拓120周年記念事業として企画した。かつて不毛の大地と言われた那須野ケ原に入植した一家の姿を通じ、開拓の歴史を伝えるストーリー。演劇経験の有無を問わず出演者を町民らから公募したのが特徴で、そのスタイルは現在まで続く。

 01年の上演からは「劇団なすの」を組織し、年1回の公演を続行。出演者やスタッフとして劇団に関わった住民は200人を超える。観客動員数は、昨年までの19年間で約1万5千人となった。西那須野地区は開拓の歴史を強く共有する土地柄。その文化が演じる側と見る側、双方の原動力となっている。

 専門家たちの支えもあった。演出には、旧塩原町出身の演出家印南貞人(いんなみさだと)さんを迎えた。旧塩原町に拠点を置く劇団「らくりん座」が出演や演技指導などで協力する。また、旧西那須野町が合併により那須塩原市となっても行政のサポートは続いた。今年も、市と市教委が劇団なすのとともに主催に名を連ねる。

 第1回公演から舞台に立つ劇団なすの事務局長阿久津誠(あくつまこと)さん(63)は「行政やらくりん座の支援と協力、観客の声援があって続けて来られた。那須野ケ原開拓の恩恵を受けた市民の一人として、感謝の気持ちを伝えたい」と話す。

 開拓の先人、支えてくれた人たちや観客への感謝を胸に、15日、市三島ホールで20年目の幕が上がる。