息子を亡くした体験を語る浅沼さん(右)と聞き手の原田さん

 【大田原】東日本大震災による津波で長男を失った岩手県陸前高田市の浅沼(あさぬま)ミキ子(こ)さん(55)がこのほど黒羽小で講演し、約100人の保護者と教職員に思いを伝えた。浅沼さんは、高台への避難路の目印としてハナミズキの植樹活動を続ける「陸前高田ハナミズキのみちの会」の代表。震災の悲劇と教訓を「次の世代へ伝え続ける」と語った。

 講演は、秋田県のFMゆーとぴあのパーソナリティー原田真裕美(はらだまゆみ)さん(58)が聞き手となって進行した。

 震災直後、浅沼さんは市の臨時職員として住民を避難誘導する長男健(たける)さん=当時(25)=と会い「無事で何より」と声を掛けられた。だが、健さんはその後、津波にのまれ、次に会えたのは遺体安置所だった。

 無念さを抱えながら「高台へ真っすぐ向かう避難路があれば、多くの命が助かったのではないか」という思いを絵本にして出版し、避難路が分かるよう植樹活動を始めた。2014年の政府主催追悼式では、岩手県の遺族代表として言葉を述べた。今年5月12日の「母の日」には、避難路沿いに記念碑も完成した。

 「津波以外にも各地でさまざまな災害が起きている。地元で過去に起きた災害を調べ、どこに逃げれば命が助かるかを家族で話してほしい。何よりまず命を守ることです」と訴えた。

 保護者の北滝、川上文子(かわかみあやこ)さん(42)は「思いが伝わってきた。近くに川があるので、災害時のことを考えていきたい」と話した。