夏と言えば生ビール。生ビールに打ってつけのつまみと言えば何があるだろうか。漫画家の東海林(しょうじ)さだおさんは、エッセー集「ゴハンの丸かじり」の一節で「鶏のから揚げ」を挙げる▼「熱くて、味が濃くて、脂っこくて、ボリュームがあって(中略)ビールのおつまみとしてこれ以上のものはない」と激賞する。東海林さんの軽やかで巧みな文章を読み進めるうちに、思わず口中に生つばがあふれ出る▼世の中は空前のから揚げブームだそうだ。定食屋や居酒屋の定番メニューにとどまらず、県内各地に専門店が進出する。多くはショウガやニンニク、しょうゆの味付けが基本で、片栗粉をまぶし香ばしく調理する▼佐野市で最近、話題になりつつあるのが黒から揚げ。しょうゆの代わりにソースを使うのが大きな特徴である。この辺りでは天ぷらにもソースをかけるのが常識とかで、ラーメン、いもフライに続くご当地グルメをと、まちおこしの市民グループが開発した▼昨年10月に発足した「佐野から揚げ協会」の玉井成美(たまいなるみ)会長によれば、市内では今20店舗ほどが扱っており、いずれも好調な売り上げだという▼黒く仕上げようといか墨を用いたり、秘伝のスパイスを使ったりと各店舗が腕を競い合う。チキンの別の意味には臆病があるが、強気で攻めれば全国制覇も夢ではないかも。