病を乗り越え、憧れの作新のユニホームで躍動した松尾二塁手=11日午前8時15分、甲子園

 筑陽学園(福岡)を11日の2回戦で下し、夏の甲子園で3年ぶりに初戦を突破した作新学院。ユニホーム姿で高らかに校歌を歌う「背番号4」松尾翼(まつおつばさ)(18)の表情は充実感に包まれていた。10万人に1人の病と戦いながら、たどり着いた聖地。「やっとスタートラインに立てた。支えてくれた人の期待に応えられるように日本一を目指したい」と新たな決意を語った。

 野球を始めたのは幼稚園のとき。中学時代は宇都宮リトルシニアでベストナインに選ばれ、2016年の全国大会では準優勝。憧れていた作新学院高への進学が決まった。

 だが、その年の秋に体に異変が起きた。「頭が痛い」。病院に行くと、脳に血管のかたまりがある「先天性脳動静脈奇形」と診断された。放っておくと、くも膜下出血を引き起こす可能性があったため、高校入学を目前に開頭手術を受けた。「命が最優先だけど、作新で甲子園に出場するのが翼の夢だったから」と母年江(としえ)さん(49)。家族にとって苦渋の決断だった。