出社する前、時計代わりにNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)を見る習慣ができたのはいつからだったろう。達者な演技とよく練られた物語につい引き込まれてしまう▼朝ドラの世界にも働き方改革の波が押し寄せている。NHKの発表によると、来春スタートの新シリーズ「エール」から、土曜の放送をやめるのだという。長年の楽しみがなくなると懸念もしたが、制作現場の負担軽減が狙いであり、同じ労働者としてエールを送りたい▼県内の働き方改革はどうなっているのか。先日、宇都宮市内で県などが主催するセミナーがあった。改革に積極的な優良企業が自社の取り組みを紹介した▼自動車部品製造、ホンダロックのR&Dセンター(高根沢町)は社長が先頭に立って有給休暇の取得促進にまい進。業務と有休を同列視し、取得状況の見える化や5連続取得制度などが功を奏しているという▼賃金面で工夫を凝らす企業も。鉄鋼業のテクノスチールダイシン(宇都宮市)は70歳定年に踏み切ったが、同一労働同一賃金にこだわり、技術継承をスムーズに行うためもあって、60歳時の賃金体系を維持した▼「人を偉大にするものはすべて労働によって得られる。文明とは労働の産物である」。英国人作家スマイルズの言葉だ。真の文明国を目指すなら改革の歩を進める必要がある。