県民が大切にしたい、自慢できる100の魅力を挙げた県の「とちぎの百様(ひゃくさま)」で、チタケは県民秘密のごちそうと紹介されている▼ナスと共に油で炒め、しょうゆ、砂糖などで味付けした汁で食べるチタケうどんは、お盆で帰省する人にとって故郷の味だろう。江戸時代の古文書にも記載があり、昔から県内で広く食べられていた▼福島第1原発事故に伴う放射性物質の拡散で、取り巻く状況は激変した。国は県内12市町で野生キノコの出荷を制限した。それ以外の市町産のものも流通にはモニタリング検査が必要で、県産チタケは8年間販売されてない▼摂取制限はないので自己責任で食べる人はいるが、県の担当者は「放射性物質のセシウムの基準値を大幅に超すものがほとんどでお薦めしない」と言う▼宇都宮市のスーパーオータニは、今週初めに福島県南会津産を仕入れた。100グラム1パックで2500円と高価だが、一定の需要はあるという。中国産の水煮やつゆは年間を通して人気で、県民のチタケ好きは変わらない。問題は今後だろう▼20年ほど前、県林業センターが行った調査で、チタケを「食べる」と答えたのは40歳代以上。それより下の世代は「興味がない」と答えていた。地場産が食卓に上ることは当分ない。本県独自の食文化が消えてしまうのではと心配になる。