貿易管理で優遇措置を与える「ホワイト国」から韓国を除外したことなどに反発して韓国で起きている日本製品の不買運動は、竜頭蛇尾で終わった過去と異なり、長期化する様相を見せている▼SNSによる呼びかけが若い世代を中心に拡散効果を生んでいることや、日本の措置や政治家の強硬な発言が相次ぎ、これが火に油を注ぐ悪循環が続いているためだ▼だが、ソウル市内を歩いてみると、不買対象となっている日本の缶ビールをそのまま販売している店舗の方が多い。数種類を販売している店の担当者に聞くと、「外国人観光客も多く訪れるのに、売りません、とは言えないでしょう」と苦笑いしていた▼とっさに「井の中の蛙(かわず)、大海を知らず」ということわざが頭をよぎった。井戸の中で日韓が争っていても、国際社会という「大海」の潮流が変わることはない▼ソウル市内の地下鉄では、労組が「ボイコット・ジャパン」と韓国語と英語で表記したステッカーを車両のドアなどに貼ったが、「公共交通機関でいかがなものか」との意見が市民から寄せられ、撤去する動きもあるという▼韓国は日本と同様、観光立国を目指している。2国間の葛藤を、何の関係もない外国人観光客を巻き込んでアピールしても否定的なイメージを与えるだけだ。この程度の冷静さは必要だろう。