「一気に不便になった。行動範囲も狭くなったよ」

 4月末に運転免許を返納した栃木市室町、自営業増渕明美(ますぶちあけみ)さん(71)を取材した。最近連絡を取った際、ぽつりとつぶやいた言葉が印象的だった。

 増渕さんが返納を決意したのは、東京・池袋で同月中旬、高齢男性の乗用車が暴走し母子2人が亡くなった事故がきっかけだった。

 返納したことで増渕さんの生活は一変したという。

 近所のスーパーやドラッグストアまで徒歩で往復し「重い荷物を持ち歩いて筋肉がついた」と苦笑する。雨が降ると、一歩も外に出ない日もある。

 やはり免許を返納したことに後悔があるのでは。そう問うと、予想もしなかった言葉が返ってきた。

 「不便だけど、一切後悔していない。もう事故を起こす心配がなくなったから、気持ちが軽いんです」

 “生活の足”を失うのは大きな苦労が伴う。返納した人にしか分からない思いもある。返納のその後も伝えていきたい。