【正月企画】庶民の味とりグルメ 県北編

 酉(とり)年にちなみ、県内各地の鶏肉、鶏卵を使った人気メニューを紹介する。焼き鳥、唐揚げ、親子丼…。リーズナブルな一品は、庶民の味方だ。

■軍鶏塩白湯ラーメン 軍鶏ラーメン美幸(那須塩原)

 6種類あるラーメンのスープは、全て純正軍鶏(しゃも)でだしを取っている。さっぱりとした味の評判はインターネットや雑誌、口コミなどで広がり、県外の人も引きつける。

 「15歳くらいの頃に食べた軍鶏肉の味が忘れられない」。店主鈴木正幸(すずきまさゆき)さん(68)は20年ほど前、35年間勤めた食品製造会社を早期退職し、自宅敷地内に軍鶏専門のラーメン店を開業した。妻美津枝(みつえ)さん(63)と二人三脚で営んでいる。

 人気メニュー「軍鶏塩白湯ラーメン」(税込み800円)は1日20食限定。約5時間煮込んだスープを高温でさらに1時間以上煮込む。マイルドな白いスープに白髪ネギやチャーシュー、半熟の「那須御養卵」などが彩りを添え、麺は手打ちと細麺の2種類から選ぶことができる。

 スープと抹茶をブレンドした「軍鶏塩抹茶ラーメン」(同800円)や、こりこりとした食感の「焼きしゃも」(同800円)、「しゃも刺身」(同1千円)も人気。鈴木さんは「ニワトリと掛け合わせていない純正軍鶏は臭みがなく、かめばかむほどうま味が出る。それを使用しているのは全国でもうちだけ」と胸を張った。

 ◇メモ 那須塩原市上厚崎118の277▽営業時間 午前11時~午後3時、午後5~8時▽水曜、第4木曜定休 (問)0287・62・0900。

■唐揚げ 鬼嫁からあげ(矢板)

 JR矢板駅東口の市街地活性化施設「ココマチ」1階に店を構える。夕方になると市内の高校に通う高校生などでにぎわう。

 店主の手塚(てつか)ヤイ子(こ)さん(50)はシャープ栃木工場に30年近く勤務した経歴がある。唐揚げは世代を問わず人気があり、実家が矢板市内で食肉店を経営していたことから、市商工会の創業塾を受講し、同施設開業とともに店を開いた。

 店名はインパクトのある言葉として選んだ。自身が参加する子どもの野球の保護者会の名称にちなむ。

 看板商品は「ジューシーもも唐揚げ」(税込み200円)と「ヘルシーむね唐揚げ」(同150円)。それぞれ3個入り100グラムで辛口のチリ味は20円増し。

 材料の肉は、しょうゆとこうじを混ぜて発酵させたしょうゆこうじなどを入れた特製のたれに少なくとも一晩漬け込む。手塚さんは「肉が軟らかくなり、こくが出る」。注文を受けてから揚げるため、揚げたてが楽しめる。

 コロッケ(1枚100円)やメンチ(同150円)、ミルフィーユかつ(同250円)も人気。4~9月は日替わりの総菜(1パック150円)、10月~3月はおでんも提供する。

 ◇メモ 矢板市末広町19の4(ココマチ1階)▽営業時間 午前11時~午後8時▽月曜定休(祝日の場合は火曜) (問)090・2489・5924。

■タンドリーチキン ワイドアルナパレス(大田原)

 店長のジャチエンダル・シングさん(33)が笑顔で振る舞うタンドリーチキン(1本税込み270円)はインドの定番鶏肉料理。香ばしいスパイスの風味が食欲をそそる。インドでは酒のつまみとして好まれ、ウイスキーなどと一緒に食べることが多いという。

 骨付きの鶏もも肉をスパイス15種とニンニク、ヨーグルトなどともみ込み、1時間ほど置いて味を染み込ませる。鉄串に刺して直径約50センチのタンドール釜で焼き上げる。

 焼きたては表面からパチパチと音がして、食欲を一層かきたてる。隠し味のチーズがマイルドな味わいを生み、子どもでも食べやすい辛さになっている。

 2016年3月にオープンしたインド料理店。店のメンバーは全員がインド出身だ。カレーの香りが漂う店内にはヒンディー語の歌が流れ、異国情緒も楽しめる。

 21種のカレーと15種の単品メニューをそろえている。ランチ・ディナータイムともに、ナンとライスが食べ放題なのも売りの一つだ。

 シングさんは「タンドリーチキンはビールにも合う。ぜひおつまみに食べてみてほしい」と話している。

 ◇メモ 大田原市住吉町1の2の20▽営業時間 ランチ午前11時~午後3時、ディナー午後5~10時。▽1月1日以外は無休 (問)0287・46・5756。

■香酥鶏(シャンスーチー) 鈴(那須)

 那須街道と平行する道を進み、看板を目印に細い道を入る。結婚式場を改装したという店内は落ち着いた雰囲気の造り。本格的な中国・四川料理が味わえると評判だ。ランチタイムには地元の常連客ばかりでなく、観光客も足を運ぶ。

 70品以上ある豊富なメニューのうち、とり年にちなんだお薦めの鶏料理が「香酥鶏(シャンスーチー)」(税込み1100円)。カリッとした皮とジューシーな肉が絶妙にマッチした中国の伝統料理だ。

 若鶏の半身を紹興酒やネギ、サンショウなどを混ぜ合わせたたれに約1日漬け込んで味を染み込ませ、軽く蒸した後、高温の油でサッと揚げる。普段はメニューに載せていないものの、希望があればすぐに用意できるという。

 町内のホテルと県外の四川料理店で学んだオーナーシェフの鈴木高城(すずきたかしろ)さん(35)は「香酥鶏は修業時代によく作らされたので得意料理の一つ。ほかにも四川のしびれる辛さと香りが味わえる本格料理もご用意しております」と笑顔で話す。

 2008年にオープンした店は今年10年目。客足も順調に伸びているといい、従業員一同、さらなる飛躍をと意気込んでいる。

 ◇メモ 那須町高久甲5176▽ランチの営業時間 午前11時半~午後2時▽水曜と第1火曜定休 (問)0287・63・4265。

■鳥のから揚げ 味の大塩(日光)

 初めて食べるとき、その大きさと量に衝撃を受ける客は多い。

 若鶏の半身約500グラムを秘伝の和風しょうゆダレで味付けし、丸ごと揚げた「鳥のから揚げ」(1個税込み1100円)。皮はパリパリ、中身はジューシーだが油は控えめ。女性にもうれしいヘルシーな逸品だ。

 鶏の精肉店から転身し1960年に創業。当初は焼き鳥や親子丼などもメニューにあったが、65年ごろ初代の故大塩敏男(おおしおとしお)さんと故スミさん夫妻が考案した鳥のから揚げのあまりの人気ぶりに、69年から定食などとして一本化したという。

 国産・安心・サイズを創業時から売りに掲げる。半世紀以上の伝統の味を守り続けるのは、3代目店主の祐司(ゆうじ)さん(30)と母の功子(あつこ)さん(57)。レシピなどのマニュアルはない。油で揚げる音や鶏肉の重みなどを頼りに、火の通り具合を判断している。

 敏男さんから仕込みや包丁さばきなど“職人技”を受け継いだ祐司さん。「昔と変わらない味を提供したい」と夢中で厨房(ちゅうぼう)に立ち続けている。

 現在、お持ち帰りや冷蔵配送だけだが、今年は定食メニューも復活する予定だ。

 ◇メモ 日光市中央町7の17▽営業時間 午前11時半~午後6時半▽不定休(事前電話推奨) (問)0288・21・0150。

■那須御養卵 稲見商店(大田原)

 スイーツなどの原材料表示で「那須御養卵(なすのごようらん)」の文字を目にしたことがある人は多いのではないか。「出荷の9割超が業務用です」と稲見正之(いなみまさゆき)常務(37)。県内外のスイーツ、パン店やホテルなどで広く使われている。「コクと甘みを追求した」といい、黄身、白身とも色味が濃い。

 1954年創業の飼料店。2006年に正之常務の兄で3代目の智之(ともゆき)社長(43)が就任すると、委託生産の鶏卵を主力商品と位置付けた。名称は11年に商標登録。那須御用邸と、飼料名の「地養素」にちなむ。

 選別や梱包(こんぽう)を行う卵工房には、県内外で鶏を育てている契約農家約30軒から新鮮な卵が毎朝届く。餌は飼料店としてのこだわりから独自に配合。鶏の体調や季節に合わせて変えており、マリーゴールドの種、パプリカ粉末、アスタキサンチンなどを組み合わせる。

 正之常務は「生産者の人柄が卵の味に出ると実感している。生産者あってのわれわれなので、これからも共に歩んでいきたい」と話す。

 市内ではトコトコ大田原などで一般販売されている。卵工房では、数量限定で赤玉10個入りを398円(税込み)で直売している。

 ◇メモ 大田原市上奥沢587−2▽営業時間 午前8時半~午後5時▽土、日曜定休 (問)0287・22・2421。