公正取引委員会は移籍したSMAPの元メンバー3人を出演させないよう、ジャニーズ事務所が民放テレビ局に圧力をかけた疑いがあり、独占禁止法違反(不公正な取引方法)につながる恐れがあるとして注意した▼独禁法の適用を、企業間取引から個人にまで広げ、企業による「優越的地位の乱用」などを規制しようという世界的な潮流に沿った動きだ▼公取委の有識者会議が昨年まとめた報告書はアニメーター、デザイナー、芸能人などを独禁法適用の検討対象に挙げた。公取委は報告書を踏まえ、吉本興業が芸人と契約書を交わしていないことも、問題ありとの見方を示している▼もっとも、ジャニーズ事務所に対する注意は違反をやめさせる排除措置命令や、課徴金納付命令などの行政処分ではない。当局が調べている、というだけで大きな影響力を及ぼすことがある▼1970年代の石油ショックでは、東京地検特捜部がそんな力を使った。トイレットペーパーなどの買い占めと売り惜しみが広がり、極端な品薄となった。特捜部は関係する商社の担当者を呼び、話を聴いた▼具体的な違法行為の疑いはなかったが、特捜部の動きを契機に、品薄状態は収拾に向かったといわれる。ともあれ「移籍した芸能人は干される」という業界の古い体質が、是正されることを期待したい。