放射能濃度の再測定のため、農家の一時保管場所で作業する関係者=29日午前、那須町内

 遮水シートを切って、土を掘り起こす-。那須町の農業系指定廃棄物の保管場所で29日、放射能濃度を再測定するため、廃棄物の試料採取が行われた。県内6市町の農家の牧草地や田んぼ、自宅敷地内などで続く廃棄物の一時保管。「せっかく調査が始まった。何とか集約して一日も早く片付けてもらいたい」。悲痛な思いの中、農家には期待も入り交じる。一方、暫定集約に向けた市町側は、国の動きを待つ“待ちの姿勢”。ただ集約場所の選定など、いずれ直面するであろう課題に不安もよぎっている。

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  山林や田んぼが広がる農村地帯の一角。遮水シートで覆われた黒い固まりがある。縦約9・6メートル、横約15メートル、高さ約1・6メートルの盛り土だ。この中に約9・6トンの廃棄物の堆肥が保管されている。

 時折、強い日差しが照りつける中、作業員は盛り土の上で採取に当たった。遮水シートをカッターで四角く切ってはがし、交代しながらスコップを数十センチの深さまで進めた。穴の底で廃棄物が入ったフレキシブルコンテナの口を開けると、焦げ茶色の堆肥をシャベルで数回すくい、白いボトルに入れて回収した。

 試料は一つの保管場所の10カ所から採取する。半日で終わる場所もあれば、重機を使って2、3日かかる場所も。廃棄物の流出や飛散を避けるため、好天時に実施し、天気によっては中止や延期もあるという。

 「本当はここに農機具の車庫を建てる予定だった。でももう8年になっちゃった」と、保管農家の男性(69)がこぼした。「今は諦めムード」と話す一方、再測定が始まり「ここで一気に片付いてくれればとの思いは強い」。那須町内の暫定集約について「進んでもらいたいし、進めるべきだと思う」と語った。

 市町の担当者らは、再測定や暫定集約の決定を「一歩前進」と捉える。廃棄物を農家の敷地外へ移動できれば、負担を軽減できるためだ。しかし「国から方向性が示されないと動けない」と口をそろえ、同時に将来の不安も抱えている。

 大田原市の担当者は「集約場所を決めるのが一番大変で、一番時間がかかる」とし、市内での反対の声を懸念する。那須町の担当者も「町のどこかに集約するにしても賛成する人は少ないと思う。ご理解していただくしかない」と話した。