心臓病と闘う大山ファイターズの星叶人主将。会場に響き渡る大きな声でチームを引っ張った=28日午前、那須塩原市三島体育センター

心臓病と闘う大山ファイターズの星叶人主将。会場に響き渡る大きな声でチームを引っ張った=28日午前、那須塩原市三島体育センター

心臓病と闘う大山ファイターズの星叶人主将。会場に響き渡る大きな声でチームを引っ張った=28日午前、那須塩原市三島体育センター 心臓病と闘う大山ファイターズの星叶人主将。会場に響き渡る大きな声でチームを引っ張った=28日午前、那須塩原市三島体育センター

 県内各地を舞台に熱戦が続く「第50回記念県学童軟式野球大会」に、特別な思いで臨んだ球児がいる。治療が難しい心臓病を患う那須塩原市大山小6年で大山ファイターズ主将の星叶人(ほしかなと)(12)だ。同市三島体育センターで28日に行われた1回戦に「人生で最後の大会になるかもしれない」と決意して出場。同じ境遇の選手を励ますかのように元気なプレーを披露し、「俺は元気だぞとアピールしたかった」とグラウンドに大きな声を響かせた。

 生後2カ月で肺炎を起こし、自治医大とちぎ子ども医療センターに緊急入院。心臓の左右の心房と心室の間にある弁が完全に閉じず、血液の一部が逆流する「1万人に1人の病」と診断された。2歳で手術を受けたものの、主治医からは成長とともに運動量を制限するよう告げられた。

 野球の魅力に取りつかれたのは、体験会参加がきっかけだった。打撃練習を楽しみ「いつかピッチャーの球を打ってみたい」と入部を志願した。当初、父の明男(あきお)さん(42)は「病気が悪化するかもしれない」と反対したが、息子の意志の強さに「本気でやるなら応援する」と小学4年で入部を許した。

 かつては「どうして俺が-」と両親に当たったこともあった。だが今では「病気も自分の一部。野球をやる上では気にならない」と病状を受け入れる。胸に残る手術跡も「頑張った勲章」と思えるようになった。

 28日の1回戦には「3番・捕手」で出場。安打こそ出なかったが、誰よりも大きな声を出してチームメートを引っ張った。結果は0-9で五回コールド負け。終了直後は「本当に最後になるかもしれない」と自然と涙がこみ上げた。試合を見守った明男さんは「今では私よりも強い人間になりました」と息子の成長に目を細めた。

 今後も野球を続けられるかどうかは8月末の検査で決まる。「甲子園出場やプロ選手になることが夢」。そう語る瞳には一切の曇りもない。誰かに勇気を与えられると信じ、練習に励むつもりだ。