宇都宮の清水さん「昭和の落語家群像」出版 名人の思い出つづる

 歌舞伎・落語研究家の清水一朗(しみずいちろう)さん(83)=宇都宮市=が「昭和の落語家群像」を出版した。昭和30年代に東京の落語会に通い詰めた清水さんが、当時の噺家(はなしか)との交流や公演記録などを通して「落語の黄金期」をつづっている。

 清水さんはこれまで鑑賞した落語会のパンフレットなどを大切に保管している。「余白に書き込んだメモを読み返しているうち、情景が思い起こされてきた」と執筆の動機を話す。

 「有楽町界隈(かいわい)の十年」との副題が付く。「落語研究会」の会場だった東京ヴィデオ・ホールと「若手落語会」の第一生命ホールが、ともに有楽町界隈にあったことによる。清水さんは、宇都宮で「落語を聴く会」を30年余り主宰。噺家に地方出演を依頼する際、有楽町界隈で培った人脈が大いに役立ったという。

 本書は3章構成。第1章「落語研究会」は、新聞などに寄稿した師匠たちとの交流の文章を再録した。「落語を聴く会」で桂三木助のおはこ「芝浜」を聴いた際のエピソードを「噺が進むにつれ、満員の会場の後方に空きが見えた。話術に引き込まれた客が、前へ前へと身を乗り出していた」と記した。このほか文楽、志ん生、圓生、正蔵ら昭和の名人たちが登場する。

 第2章「若手落語会」では新進だった志ん朝、談志、圓楽などが語られる。3章は「東宝演芸場」で行われた「落語勉強会」について記述した。