【那須雪崩事故】「ずっと忘れない」思い寄せる鹿沼クレーン車事故遺族 CDと手紙 逡巡し今も手元に

 2011年4月の鹿沼6児童死亡事故で、長男の伊原大芽(いはらたいが)君=当時(9)=を失った鹿沼市上殿町、父高弘(たかひろ)さん(46)と母加奈子(かなこ)さん(46)が、那須町の雪崩事故で犠牲になった8人と遺族らに思いを寄せている。雪崩事故の遺族と、息子を亡くした自分たちとが重なった。「何かできないか」。自分たちが前を向くきっかけになった女性シンガーのCDを贈りたいと思い、それに添える手紙もしたためた。でも…。「遺族がどう受け止めるだろう」。逡巡(しゅんじゅん)しながら、CDと手紙は今も夫妻の手元にある。雪崩事故は27日、8回目の月命日を迎える。

 大田原高山岳部の生徒、教員計8人が亡くなった3月27日から、加奈子さんはずっと胸を痛めてきた。

 6年7カ月前の事故では登校中の大芽君ら6人が、暴走したクレーン車に命を奪われた。事故は4月、雪崩事故は3月末。起きた時期が近く、亡くなった大田原高生と大芽君の姉は同年代。高弘さんは「苦しい気持ちの中で、寄り添いたいという思いがあった」。

 できることはないか。考えついたのが、夫妻との交流から作品「明日へ向かう人」を生んだシンガー・ソングライター半崎美子(はんざきよしこ)さんのCDを贈る事だった。半崎さんとの出会いから、夫妻は少しずつ前を向けるようになったからだ。

 さいたま市のライブ会場で9月、CDを10枚買った。8人の遺族と、同校の在校生の分と。タイトル曲は「サクラ~卒業できなかった君へ~」。会場で半崎さんに雪崩事故のことを伝え、サインをもらった。

 伊原さん夫妻は「サクラ~」を聴くたび、雪崩事故で亡くなった8人のことを思う。「ずっと忘れないよ」。手紙と10枚のCDは、大切にしまってある。