増えるシカ、人里に 栃木県内、事故も続発

増えるシカ、人里に 栃木県内、事故も続発

 シカが人里に出没して交通事故を引き起こしたり、民家に侵入して暴れたりするケースが10月以降、県内で相次いでいる。県によると、秋の繁殖期に入って活動が活発化しており、「今後も山間部を中心に出没する恐れがある」。県内の推計生息数は2万3600頭で増加傾向にあり、生息域も拡大。県は対策を強化するが、事態は深刻化している。

 10月26日、夜明け前。鹿沼市塩山町の県道で、60代男性のオートバイの転倒事故が起きた。近くにはシカの死骸が横たわっており、衝突したとみられる。男性は、新聞配達を終え販売店に戻る途中だった。頭を強く打ち、意識不明が続く。

 シカが住宅地に現れるケースも。同月6日早朝、さくら市草川で民家のガラス戸を突き破り、室内を暴れ回って逃げた。住人はシカと鉢合わせしたが、幸いけがはなかった。地元関係者は「こんな場所にシカが出没するとは」と驚く。

 鹿沼市内では同月9日早朝にも、新聞配達中の男性が動物と衝突したとみられる死亡事故が起きている。

 ◆生息域拡大

 県自然環境課は「繁殖期の雄ジカは雌を求めて行動範囲を広げ、特に人里へ出没しやすくなる」と警鐘を鳴らす。分布域は県南西部の里地周辺や北部の山地帯で拡大し、農作物を食い荒らす被害も増加している。

 県東部への侵入を防ごうと、6月には県と10市町などが「県東地域ニホンジカ対策協議会」を設立した。10月には大田原市黒羽地区で初めて、県が設置したカメラで姿が撮影され、関係者は危機感を募らせる。

 ◆境界あいまい

 鳥獣管理技術協会事務局長で、宇都宮大地域デザイン科学部の高橋俊守(たかはしとしもり)教授(地域生態学)は「人口減少や耕作放棄地の増加などの影響で、本来は警戒心の強い野生鳥獣が人里に出没しやすい状況になっている」と強調。