県教委は先日、2017年の那須雪崩事故を受けて策定した、高校生の「登山計画ガイドライン」の一部の運用を見直し、計画審査会のチェック対象を全件に広げた▼事故の遺族から「審査の抜け道があったことが事故発生の大きな要因。全て審査会で審査すべきだ」との指摘を受けて決定した。中級山岳や低山での遭難事故が増えていることも考えれば、妥当な判断だろう▼事故から2年余が経過し、教訓を再発防止に生かそうという動きは続いている。先月、「那須雪崩事故の真相 銀嶺(ぎんれい)の破断」(山と渓谷社)が出版された。雪崩事故防止研究会(札幌市)の阿部幹雄(あべみきお)代表が独自の調査、検証の結果をまとめたものである▼阿部代表は那須雪崩事故発生後、現地調査に入り救助隊や生存者、遺族などへの聞き取りをした。なぜ雪崩の危険性が高い急斜面を登ったのか、なぜ携帯電話で救助要請しなかったのか、などの疑問が執筆の動機と巻頭で説明している▼直径10メートルほどの狭い範囲に生徒たちが折り重なって埋もれ、救助隊員が必死になって救助する描写からは、事故の悲惨さが改めて迫ってくる。けが人が出なかったとの理由で、過去の雪崩事故が隠蔽(いんぺい)された経緯なども詳しく記した▼出版によって多くの人が事故の経過と実態を知ることができる。風化を防ぐためにも意義深い。