「今からあなたを脅迫します」ドラマが話題 原作の鹿沼出身・藤石波矢さん「書き続ける覚悟、強くなった」

「今からあなたを脅迫します」ドラマが話題 原作の鹿沼出身・藤石波矢さん「書き続ける覚悟、強くなった」

 鹿沼市出身の作家藤石波矢(ふじいしなみや)さん(29)=東京在住=の人気作品「今からあなたを脅迫します」がテレビドラマになり、毎週日曜日午後10時半から日本テレビで放送されている。「初恋は坂道の先へ」で第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞を受賞し、文壇デビューして3年。エンターテインメント小説の担い手として期待される藤石さんに作家生活や抱負について聞いた。

 「今からあなたを脅迫します」は「脅迫屋」の千川完二(せんかわかんじ)とお人よし女子大生金坂澪(かねさかみお)が繰り広げるミステリー小説。本県にちなんで名付けたすご腕ハッカー栃乙女(とちおとめ)も登場する。シリーズ最新の第3巻「白と黒の交差点」(講談社タイガ、778円)が発売されている。

 「探偵のような仕事をする裏稼業をイメージしているうちに『脅迫屋』が浮かび、物語の世界が膨らんでいった」と藤石さん。依頼を受け「あなたを脅迫する」と迫る千川は悪人とは言い切れない人物として描かれ、純真な澪とのぶつかり合いが読みどころだ。

 テレビドラマでは千川をディーン・フジオカさん、澪を武井咲(たけいえみ)さんが演じている。ドラマ化で藤石さんの知名度も上がり、ツイッターのフォロワーが増えたという。

 執筆に苦労したのは第2巻「透明な殺人者」。「物語をどう盛り上げるか悩んだ。1巻を超えなければならないプレッシャーもあり、シリーズの難しさを痛感した」

 講談社の編集担当河北壮平(かわきたそうへい)さんは「第2巻の執筆に苦しみながら笑顔で頑張ってくれた。巻を重ねるごとに、うまくなっている」と評価する。シリーズ展開について藤石さんは「千川と澪のぶつかり合いから何が生まれるかを考えながら書き継いでいきたい」と話す。

 鹿沼東高時代は人見知りだったという。大正大文学部に入学後、「経験のないことをやりたい」とボランティアサークルに入部し、子どもたちに見せる演劇の脚本も書いた。「日常生活のモヤモヤを誰かに伝える形にして吐き出すのが自分に合っていた」と小説を書き始めた動機を説明する。

 デビュー当初は派遣会社に勤務していたが、今年から作家一本で生計を立てている。「小説家の喜びは『面白かった』『言葉が心に響いた』と言ってもらえること。書き続ける覚悟が以前より強まりました」

 鹿沼市のビッグワンブックス鹿沼店は、藤石さんの特設コーナーを設置した。