万引のきっかけは、陸上競技のトップ選手時代に発症した摂食障害だった。

 窃盗罪に問われた元マラソン日本代表、原裕美子(はらゆみこ)被告(35)は、黒い細身のパンツスーツ姿で初公判の法廷に現れた。被告人質問では、高校卒業後に実業団へ進み、より過酷な環境で競技に取り組むようになってから、暴食と嘔吐(おうと)を繰り返す摂食障害になったことを、か細い声で証言した。

 「厳しい体重制限がきっかけで、食べては吐いてストレスを解消していた」

 万引するようになったのは同障害発症後で、検察側の冒頭陳述によると、過去に万引事件で2度の罰金刑が確定している。

 治療を試みたこともあったが、2015年2月以降は通院していなかった。父親は証人尋問で「最近は症状が出ていないと思っていた」と振り返った。原被告自身も父親に「大丈夫」と説明していたというが、摂食や万引の衝動が抑えられたわけではなかった。

 現在は精神科の閉鎖病棟に入院し、衝動や欲求を抑える治療を受けている。