「てめえ、この野郎」。どう喝にも聞こえる、指導の域を超えた暴言に戦慄(せんりつ)を覚えた。「それくらい大丈夫だろ」。グラウンドで何時間も走り続け、ふらふらと倒れ込む部員に浴びせられた言葉に耳を疑った。

 スポーツの現場を歩いていると、至るところに暴力の「かけら」が落ちていることに気が付く。中には信頼関係の上にある冗談もあるかもしれないが、胸のざわつきは消えない。

 中高生の部活動の指導者が部員に手を上げる例が各地で後を絶たず、本県も例外ではない。意識改革が進んでいるとはいえ、体罰が容認されていた時代を懐かしむ指導者がいまだに存在することも事実だ。

 互いを尊重し、楽しむことがスポーツの価値であり原点のはず。「勝利至上主義」にとらわれ、大事なものが忘れ去られていないか。行き過ぎた指導を容認する空気が漂っていないか。大会が多く開催される夏。本質を見失った先の勝利に価値はない。