企業の連合や統合は、夫婦または恋人同士の関係に例えられる。目指す経営戦略もさることながら、相性や情がとても重要な要素になるからだ▼こうした観点で、フランスの自動車大手ルノーと日産自動車の連合の現状と行方を考えてみたい。最近、衝撃的だったのは、ルノーが日産の株主総会(6月25日開催)で企業統治関連の議案に対する議決の棄権を一時検討したことだ▼日産が、社外取締役を中心に人事や報酬を決める指名委員会等設置会社への移行を柱とした、企業統治改革の議案を総会に諮ろうとしていた最中で、同社の怒りを買った▼会社法違反などの罪で起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告の事件を受け、統治改革は最大の課題となっていただけに、日産の心情は理解できる▼委員の人選に不満を抱いていたルノーは、棄権を掲げて日産に圧力をかけ、委員会に首脳2人を送り込み棄権を撤回した。日産の筆頭株主ルノーが棄権すれば議案は承認されない恐れがあり、この点を武器としたのは明らかだ▼ルノーは欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズとの経営統合を検討したが、日産は蚊帳の外だったという。夫が妻の仕事を邪魔し、浮気したようなものだ。両者が企業連合を結成して20年。溝が深まった両社の関係を注視していきたい。