宇都宮市役所1階のテレビコーナーで党首討論の中継を見つめる人たち。年金問題は一気に参院選の争点となった=6月19日

 2カ月に1度の年金支給日。「こんなものか…」。小山市、無職女性(67)は手元に残る金額とにらめっこし、やりくりに頭を悩ます。1人暮らしで収入は年金だけ。「ぜいたくをしないように暮らしてきた」

 そんな中、怒りの矛先は「老後資金2千万円問題」と、金融庁審議会の報告書の受け取りを拒否した麻生太郎(あそうたろう)金融担当相に向く。

 「自分がやらせておいて報告書を受け取らないなんて、とんでもない」。麻生氏が年金を受給しているかどうか答弁できなかったことにもあきれている。

 「国民の目線に立てない、立たない。(与党の)弊害やひずみが出ている」と不信感を募らせる。

 近年、安倍政権の信頼を損なう事態が相次いでいる。

 自衛隊の海外派遣時の日報隠蔽(いんぺい)、障害者雇用の水増し、厚生労働省の統計不正問題。国会でも与党側の強行姿勢が目に付く。

 「仕事上、いろいろな文書を作るが、改ざんなんてあり得ない」

 学校法人「森友学園」への国有地払い下げを巡る財務省の決裁文書改ざんについて、40代の県職員はそう切り捨てる。「国と地方の違いはあっても、行政をつかさどるのは同じ。議会にうそをつけば、県民にうそをつくことになる」と指摘。「よほどの圧力があったのではないか」。そんな臆測も頭をよぎる。

 1日夜。宇都宮市中心部のオリオンスクエアで開かれた公開討論会。参院選に立候補予定の3人が顔をそろえ、少子化対策などを議論した。宇都宮市、自営業女性(53)は買い物帰りに、足を止めた。

 6月末のG20大阪サミットで、各国首脳と渡り合う安倍晋三(あべしんぞう)首相が印象に残った。外交手腕を評価し「引き続き安倍さんにお願いしたい」と政権を支持する。

 一方、野党には「批判するだけ」と厳しい目を向ける。「選挙で勝つために、その場しのぎで共闘しても駄目。政策の違いが出て後で空中分解する」

 「1強」とされる安倍政権に募る不信。同時に、野党への批判の声もある。有権者は誰に、どの政党に1票を託すのか。考えるための選挙戦が4日、始まる。

 ミニ解説 金融庁の審議会が6月上旬、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦の場合、年金収入だけでは月に5万円の赤字になるとし、30年生きるなら2千万円が不足になると指摘する報告書を公表した。年金について「100年安心」としてきた政府の説明と矛盾するとして批判が噴出。安倍首相は「不正確で、誤解を与えるものだった」と釈明し、野党は攻勢を強めている。

 一方、6月下旬の世論調査の政党支持率は、自民37・9%に対し、立憲民主9・9%、共産2・9%、国民民主2・7%などと、野党は1桁台となっている。