「2千万円足りない」と国会で議論になった老後の資金設計。それと並び重要なことが、社会から孤立することのない充実した生活環境である▼その課題に真っ正面から向き合う大田原市の一般社団法人「えんがお」(大田原市)が、本年度のとちぎ次世代の力大賞(下野新聞社主催)に輝いた。浜野将行(はまのまさゆき)代表理事(27)らスタッフは25歳前後。高校生、大学生などサポーターや体験希望者らと活動を展開する▼活動拠点「みんなの家」では、お年寄りと学習室を利用する大学、高校生が、何げない会話を交わす。買い物や掃除などの生活支援事業でも、作業の合間などに触れ合いが生まれる▼昔話や部活動の様子など、会話の内容は決して特別なものではない。だが、お年寄りからは「これで1週間頑張れる」などと礼を言われるそうだ。高校生たちは意味が分からず戸惑うが、やがて一緒にいることに意味があると気付くという▼注目は、活動がビジネスであることだ。施設利用、生活支援、交流イベントなど全て有料。それでも利用増加を見込む。それは若者との触れ合いを求めるお年寄りの多さの裏返しでもある▼「活動を継続し、広げるには有料でないと」。浜野代表の表情には、お年寄りに向ける優しさと経営者の厳しさが同居する。「人生100年時代」の支えを託したい。