「ふるさと真岡を守る親の会」が署名活動で使ったチラシ。東海第2原発との距離の近さに、驚く人が多かったという=6月14日、真岡市

 原発問題に関心がなかった。というより、関心を持たないようにしていた。

 「ちゃんと考えたら心配な気持ちになると分かっていた。そうなるのが嫌だった」。福島第1原発事故の発生から8年以上がたった今、真岡市、通訳業安田美保子(やすだみほこ)さん(41)は昨夏までの心情を振り返った。

 意識が変わったきっかけは、同市内の母親らでつくる「ふるさと真岡を守る親の会」の署名活動。茨城県の東海第2原発の運転期間延長に反対し、賛同者を募っていた。

 同原発から自宅まで60キロ。身近さに初めて気付いた安田さんは、原発問題に正面から向き合った。自宅付近は県内有数のイチゴの産地。「東海第2で事故が起きたら、ここでイチゴは作れない。みんな生活できなくなる」。署名に応じた。

 原発再稼働を認める政府は「経済界ばかりを向いている」。原発をなくし太陽光など再生可能エネルギーの導入拡大を願うが、それで電力需要量をまかなえるとは思えない。だから「社会全体でライフスタイルを見直さないと」と訴える。

 原発再稼働を巡る議論は反対論が根強い一方、経済界を中心に推進を求める声も上がる。

 「電気は木材加工の時にこまめにたくさん使う。もちろん生活にも不可欠だ」。鹿沼市で建築業を営む小林俊明(こばやしとしあき)さん(71)は力を込める。原発事故を踏まえ施行された新規制基準で、再稼働される原発の安全性は担保されているはず。「効率の良さで原子力に勝る発電方法は今はない。万が一の危険ばかり考えていては先に進めない」と話す。

参院議員が果たす役割の大きさを指摘する意見もある。解散のある衆院と違い、参院は本来、政党政治の枠にとらわれない長期的視点に立った議論が求められるからだ。

 県央在住の経営コンサルタント男性(72)は「国の根幹といえる問題なのに前進していない」と原発事故後のエネルギー政策の議論の在り方に失望する。

 「参院議員は50年後、100年後を見据えて、この問題に取り組んでほしい」。選挙戦やその後の国会で、納得できる主張が聞けることを男性は願っている。

 ミニ解説 自民党は参院選の公約で、原発依存度を可能な限り低減する方針を堅持し、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて取り組みを進めるとした。一方、新規制基準に適合すると認められた原発については、立地自治体など関係者の理解と協力を得つつ、再稼働を進めるとしている。

 野党側は立憲民主党や共産党などが明確に「原発ゼロ」を訴える。国民民主党はできるだけ早期に原子力エネルギーに依存しない社会を実現する、としている。