学童保育で子どもたちの運動をサポートする宮本さん(左)。地域おこし協力隊は地方創生の重要な担い手だ=24日、大田原市

 子どもたちが次々とフラフープの輪をくぐる。大田原市内のマンションにある学童保育施設。同市の地域おこし協力隊として指導に当たる宮本欣吾(みやもときんご)さん(38)は、はしゃぐ子どもたちを笑顔で見つめた。

 約2年前。熊本県宇城市から妻と3人の子どもと移住し、協力隊員になった。学童保育や障害者支援施設でスポーツレクリエーションなどを通じ、地域振興を図っている。協力隊は地方創生の担い手の一つ。「地域の人が笑顔になることが何よりうれしい」。宮本さんのやりがいは大きい。

 人口減少対策として打ち出された地方創生は、安倍政権の看板政策だ。全国で取り組みが進む一方、メニューの幅広さゆえのあいまいさに戸惑う声もある。

 那珂川町の地域おこし協力隊員星里奈(ほしりな)さん(33)は2017年3月、横浜市から人口減少が進む同町に夫婦で引っ越した。地元を歩いて景色などを楽しむ「フットパス」のイベントを企画運営している。毎回定員を上回る参加者に手応えを感じるが、イベントが町の人口増加に結び付いている実感は薄い。「地方創生って良い言葉だけど正直、中身はよく分からない」と本音を漏らす。

 県も15年度から「とちぎ創生15(いちご)戦略」で人口減少対策を展開。雇用創出や子育て支援、UIJターン促進などの取り組みで県内市町を支援し、関連予算は本年度だけで473億円に上る。

 それでも県人口は右肩下がりを続け、若者や女性の都市部への流出に歯止めがかからない。

 宇都宮市で生まれ育った文星芸大4年の高内泰任(たかうちたいと)さん(21)は、デザイン会社に就職が内定した。将来のスキルアップを視野に選んだのは、東京都内の会社。地元に残るよりも、仕事が多様で自分の力を磨けると考えたからだ。

 3年生の時、県内限定のグミキャンディーのパッケージをデザインした。地方創生には地元を盛り上げるというイメージがある。「自分にもできることがあるかも」。そんな思いも抱くが、地元に戻るかどうかはまだ分からない。

 多彩な施策は人口減少克服の有効打になり得ているのか。地方創生の答えはまだ見通せない。

 ミニ解説 一極集中是正へ「関係人口」提示

 地方創生は、安倍晋三首相が2014年に地方の経済活性化や人口減少の克服を目指して掲げた。総合戦略を基に施策を展開し、交付金などを通して自治体を支援している。一方で20年達成を目標にしていた東京圏の転出入者数の均衡化はめどが立っていない。

 地方創生の第2期の方向性を示す「まち・ひと・しごと創生基本方針」では東京一極集中の是正に重点を置き、対策を強化。都市部に住みながら特定の地域と継続的に交流する「関係人口」を拡大し、将来的に移住者を増やすなどの具体策を提示した。