食事中の1歳児に目を配る保育士たち。保育の現場では、保育士の担い手不足などが問題となっている=20日、佐野市

 月収の2割に当たる保育料が浮く-。「将来に備えた貯蓄や子どもの習い事に回そう」。那須塩原市の女性(27)は、10月からの幼児教育・保育(幼保)の無償化に期待を膨らませる。

 女性は学童保育の支援員として週5日間勤務する。朝8時半に4歳の長女を保育園に預け、勤務先へと急ぐ毎日。保育料は月に2万3千円ほどかかる。

 自らの月給は約10万円。夫とは共働きだが、今後、中学高校でかかる教育費への不安はある。家事と育児、仕事に追われる中、新たな制度を「心にゆとりを持てる」と歓迎した。

 幼保無償化は、消費税の増税分を財源に3~5歳児などの保育所利用料を無償とする。子育てと教育の家計負担を軽減し、少子化に対処する狙い。だが、保育の現場では疑問の声が上がる。

 「保育士は疲弊している。無償化より先にやることがある」。佐野市の救世軍佐野保育園の久富直樹(くとみなおき)園長(61)はそう指摘する。

 同保育園では1歳児18人を4人の保育士が担当。誕生月で成育状況が異なる1歳児の面倒を見るには、ぎりぎりの人数だ。夜は事務作業や保護者対応があり、勤務時間は長くなる。

 年度途中に入園してくる0歳児に対応する保育士も補充したいが、なかなか応募がない。業界は低賃金など厳しい労働条件を理由とした離職者が多く、担い手が不足しているからだ。

 無償化による保育ニーズの高まりで、待機児童がさらに増える懸念もある。久富園長は「保育士の待遇を改善し、担い手を確保することが重要」と訴える。

 消費増税そのものへの不安の声もいまだに根強い。

 同市で洋食店を営む長内淳子(おさないじゅんこ)さん(38)は今、増税分を価格に転嫁するか真剣に悩んでいる。

 8%への増税時に一部メニューを値上げしたが、「経営に余裕はなく我慢している」。自家製にこだわり、看板メニューのビーフシチューは税込み1850円。「これ以上価格が上がれば客が離れてしまうのではないか」と心配を募らす。

 社会保障の財源などになる消費増税には理解を示す。それでも「本音を言えば、今でも消費増税はしてほしくない」とこぼした。