真っ赤に焼けた炭火に肉汁が落ち、しちりんに煙が薄く立ち上る。食材が適度なスモークの香りをまとい、食欲をそそる。肉に炎を当ててはいけない。焦げて見栄えが悪くなるばかりか、味も落ちてしまう。
店主の清水尚美(しみずなおみ)さん(53)は、食材の焼き方に何よりもこだわる。「おいしい基準を知ってもらいたい。その後はお客さんのお好みで」と、最初の1枚は部位ごとに焼き方を丁寧に説明することにしている。
赤身の肉は火力の強い網の中心でさっと。脂の多い内臓は火力の弱い網の外側で焦がさぬようにじっくりと焼き、余分な脂を落とす。旬の野菜の品ぞろえにも肉と同じぐらい気を使う。「季節感を味わってもらいたいから」という。
客の大半が注文するのがエゾジカのモモ肉と和牛のレバー(ともに980円)。赤身のエゾジカは想像以上に軟らかく、臭みも少ない。濃厚でリッチな味わいのレバーは、プルプルの食感がたまらない。
JR小山駅西口に18席のこぢんまりとした店を構えて11年。開店以来の経営パートナーだった娘が嫁ぎ、最近は1人で店を開けることもある。「できれば予約していただけるとありがたい」と話していた。
◆メモ 小山市城山町3の2の23。午後5時半~午前0時。月曜定休(祝日は営業)。(問)0285・25・8929。