作家の深田久弥(ふかだきゅうや)は、著書の「日本百名山」の中で、日光市と群馬県の県境にある皇海山(すかいさん)(2144メートル)について「立派な風格を持った山で、思わず脱帽したいほどの気品を備えている」と紹介している▼美しい山容であっても容易にはたどり着けない。県山岳遭難防止対策協議会が、県内の82の登山ルートについて、どの程度の体力と技術が必要かという難易度で分類した「山のグレーディング」では、最高難度である▼距離が長く、細い尾根の急登や下りの難所が続くという。今月中旬、この山で遭難が相次いだ。1人目は埼玉県の無職男性(68)で、友人3人と登山中に行方不明になった。4日後に登山道から160メートル下の斜面で死亡しているのが見つかった▼その翌日には千葉県の男性医師(59)が入山したまま行方不明となった。単独行のため遭難場所の見当が付かず、日光署などの捜索は難航している▼県警のまとめによると、昨年1年間に県内で発生した山岳遭難は前年比10件増の40件。遭難者は44人で、70代以上が最も多く15人。次いで60代が13人と中高年の遭難が目立っている▼日光署の丸山光広(まるやまみつひろ)次長は「複数での登山を心掛けてほしい。引き返す勇気を持つことも重要」と話す。梅雨が明ければ本格的な登山シーズンとなる。自分の年齢や体力、技術を改めて認識したい。