ペデストリアンデッキで、少女は通り掛かった女性に声を掛けられた=17日午前、JR宇都宮駅西口

 「おばちゃん」は抱き締めてくれた-。足利市、高校3年の少女(17)は今、「おばちゃん」と呼ぶ女性に感謝しながら県内の医療機関で過ごしている。JR宇都宮駅西口のペデストリアンデッキで5日、少女は自殺を逡巡(しゅんじゅん)していた。「危ないよ」。見ず知らずの女性から声を掛けられ、思いとどまった。女性に救われ、少女は心の安穏を取り戻そうとしている。

 「どうしたの?」

 5日正午ごろ、少女は2階のデッキから下を行き交うバスを眺めていたのを覚えている。詳しい記憶はない。手すりから身を乗り出したのか、女性から声を掛けられた。

 そして抱きしめてくれた。近くのカフェに入り、悩みを聞いてもらった。約1時間半後、落ち着きを取り戻すと、女性とは別れた。

 県内の私立高へ通う少女はその日の朝、電車に乗っている時から命を絶とうか迷っていた。登校はしたが学校を飛び出し、たどり着いたのが同駅。ホームに立ったが思い悩み、向かったのがデッキだった。

 入学した県立高でいじめに遭い、2年生で私立高に移った。転校後も「不安」がつきまとった。母親(47)は「『死にたい』『もう嫌だ』とは言っていた」と振り返る。

 少女は2年生の時にリストカットなどを繰り返し一時入院したが、自殺しようとしたのはこの日が初めて。女性と別れた後、少女は学校に戻った。母の迎えで下校し、そのまま医療機関に入院した。母によると、入院を提案された時、少女は「私もその方がいいと思う。ゆっくり休みたい」と話したという。

 女性の連絡先は分からない。母親は「知らない女の子に声を掛け、親身に話を聞いてくれて感謝の思いしかない」。少女から「お母さんよりも年上だと思う」と聞いて同駅周辺を歩いてみたが、捜す手だては見つからなかった。少女も「お礼が言いたい。けれど見つける手段がない」と話しているという。

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 自殺の悩みなどに対応する県内の主な相談窓口は次の通り。

 栃木いのちの電話(宇都宮センター)028・643・7830(24時間)▽同(足利センター)0284・44・0783(午後3~9時)▽こころのダイヤル028・673・8341(月~金曜日午前9時~午後5時)