原田知世(はらだともよ)さん主演の映画「時をかける少女」。封切りから既に36年が経過する。大林宣彦(おおばやしのぶひこ)監督の「尾道三部作」に数えられ、松任谷由実(まつとうやゆみ)さんが手掛けた主題歌も相まって、筆者にとって忘れられない名画の一つとなっている▼原作は筒井康隆(つついやすたか)さんの同名のSF小説である。主人公の女子高生がタイムトラベルなど特別な能力を得てしまったことに由来する物語は魅力的で、冒頭の映画だけでなくテレビドラマやアニメ映画なども制作されている▼この作品で重要な鍵を握るのがラベンダーだ。地中海沿岸地域が原産で、香料作物として広く栽培されているという。ラベンダーとは何なのか。映画公開からしばらくの間、分からずにいたが、北海道に旅した際に紫のかれんな花と香りを初めて知った▼その花が見頃と聞いて栃木、佐野両市にまたがる「みかも山公園」のハーブ園に出掛けた。約600株の花畑一帯が癒やしの香りに包まれ、何とも爽やかだ▼管理事務所の星南(ほしみなみ)さんによれば、暑さと湿気に弱く「手入れは大変。今年も開花してくれてうれしい」。今月いっぱい楽しめるという▼〈火の山の裾より青いラベンダー〉(木村敏男(きむらとしお))。映画ではラベンダーの香りをかぐことが時空を超えた旅のきっかけになる。実際にはあり得ないが、時間を忘れさせてくれる効能だけは確かにある。