JR宇都宮駅にほど近い一等地に、今にも崩れ落ちそうなあばら家がある。場所柄、いくらでも需要はあるはずで、いかにももったいない。売ろうにも売れない複雑な事情があるのだろう▼筆者の知人にも、空き家を所有する人が何人かいる。転居に伴いやむを得ず売りに出しているのだが、買い手が付かずに頭を抱えている。固定資産税をはじめ維持管理の負担が重くのしかかる▼県内の空き家が右肩上がりで増えている。総務省の5年に1度の調査だと、2018年10月時点の空き家数は過去最多の16万1千戸で割合は実に17・4%にも上るという。関東1都6県でもトップの数字だ▼空き家になる背景には持ち主が亡くなったり、転居したりして不明になっていることに加え、家族らが相続を拒否しているケースなどがある。本県の空き家の特徴として賃貸物件が多く別荘も目立つという▼防犯、防災上の問題だけでなく景観的に見苦しく地域の活性化も阻む。国を挙げて空き家対策の強化に乗りだし、県内では空き家バンクなどを早期に導入した栃木市の取り組みが、全国的にも注目を集めている▼〈叢(くさむら)に鬼灯(ほおずき)青き空き家かな〉(正岡子規(まさおかしき))。現時点で空き家対策計画を策定していない県内市町は10に上る。対策は待ったなしだ。古里が空き家だらけになるのは何ともしのびない。