今春開催されたヨシ焼き。多くのカメラマンが撮影する中、地元住民らが火入れを行った

 栃木市など4県の4市2町にまたがる渡良瀬遊水地で60年以上も続く春の風物詩「ヨシ焼き」が、存続を危ぶまれる事態に陥っている。枯れ草などに着火する「火入れ」を行う地元住民が今春、前年に比べ約50人も減少。自然保護団体は「担い手不足が続けば、数年後にはできなくなる」と懸念する。ヨシ焼きは多様な湿地環境を保全する上で必要とされ、1万人前後の見学者が訪れる重要な観光資源でもある。関係団体は火入れ体験ツアーを企画するなど、新たな担い手確保を検討している。

 「ヨシ焼きができないと、農作物にも被害がでる。ぜひ存続させてほしい」。5月下旬、栃木市内で開かれた関係機関・団体でつくる「渡良瀬遊水地保全・利活用協議会」の部会。よしず生産農家松本八十二(まつもとやそじ)さん(77)は、出席者に対し苦境を訴えた。

 ヨシ焼きが本格的に始まったのは昭和30年代。良質なヨシの育成に効果があり、絶滅危惧種を含む植物の発芽促進にも役立つ。樹林化も防ぐことから、環境保護団体の代表は「湿地維持に不可欠」と説明する。