参加者に地酒を使ったカクテルを振る舞う鈴木代表(左)

 【宇都宮】ガイド付きでバーを巡り、カクテルやジャズを楽しむツアー「Utsunomiya KIBUNA Night」が22日、初めて行われた。ツアーに同行し、バーの世界に「初めの一歩」を踏み出した参加者の姿を取材した。

 22日夕、日が落ちたJR宇都宮駅に、市在住の男女5人が集まった。

 ツアーは市DC推進委員会とえにしトラベル(新里町)が初めて企画した。「県外の人へのアピールはもちろん大切ですが、まずは地域に住んでいる人に地元の魅力を再発見してもらいたいんです」と同社の中山高行(なかやまたかゆき)さん。チケットを申し込んだ人の半数以上は市在住という。

 最初に向かったのは、東宿郷5丁目のジャズバー「インダルスドリーム」。扉を開けると、薄暗い店内にオレンジ色の光が輝き、大人のムードが漂う。

 カウンター席に座った5人の顔は、少しこわばっているように見える。「せっかくなので、好みに合う1杯をお作りしましょう」。鈴木邦乙(すずきくにおつ)代表取締役(64)が提案すると、参加者の表情がぱっと明るくなった。

 「宇都宮出身だけど、バーは初めて」という大谷町、主婦大塚園恵(おおつかそのえ)さん(67)。「飲みやすい1杯を」と少しばかり気恥ずかしそうに伝えると、地酒「四季桜」にヨーグルトのリキュールを合わせた白色のカクテルが差し出された。

 カクテルをきっかけに会話が回り始め、鈴木代表がさりげなくリードする。次第に大塚さんの口数も多くなり、隣に座った初対面の男性とも自然と言葉を交わすように。「一人だと(振る舞い方が分からず)入りづらいと思っていたけど、案外そうでもないかも」

 気分も高揚してきたところで、東宿郷4丁目のダイニングバー「フリーフライト」へ。真っ赤に輝く「イチゴカクテル」を前に、小さな歓声が上がる。

 ジャズの生演奏が始まった。会話は止まり、出演者に視線が集まる。ピアノとベースの優しい生音が店内に溶け込んでいく。「自然で軽やかな音がすてき」。元今泉2丁目、パート従業員鈴木由美子(すずきゆみこ)さん(49)は頬を赤らめながら、ゆったりとした雰囲気に身を委ねていた。

 時間を忘れ、日常から離れたひととき。しかし特別な気遣いはいらない。参加者は、自然体で宇都宮の夜を楽しんだ様子だった。