中小企業の後継者難が深刻だと言われるが、そもそも家業を継ぐのは息子だと思う風潮が根強いのではなかろうか。社長である親にも子どもにも。息子だけでなく娘にも▼そんな“常識”にあらがった県内外の女性たちが、同じ境遇の者同士、悩みを分かち合う「家業を継ぐ娘たちの会」(近藤千園(こんどうちその)代表理事)を立ち上げた。宇都宮で開いたセミナーは、女性経営者が等身大の姿を語る場となった▼登壇した3人は皆、継ぐのは想定外だったと口をそろえた。社員に突然、廃業するとは言えない。心を奮い立たせて社長になったが「取引先で名刺を突き返された」「ストレスで胃にポリープが33個もできた」「孤独だった」▼会場の女性たちにとっては、まさにわが身のこと。何度も相づちを打った。切実な質問も飛んだ。「主婦業をないがしろにして、心が折れそう。どうしたらいいのか」。それでも、壁を乗り越えてきた3人のアドバイスに、表情が緩んだ▼こうした会話をするだけで、心は軽くなり、前向きに仕事ができるのだろう。「地域や職種を超えた連携で、しなやかに、たくましくなれる」と近藤代表理事▼少子化で男女問わず子どもの数が減っている。起業も含めれば、経営のトップに立つ女性の割合は増えていく。彼女たちの行動は、後に続く女性の羅針盤になるはずだ。