修正された足利市のリーフレット「死亡届にともなう手続き」。「お子さまが亡くなった場合…」という説明を加筆した

 足利市は本年度、親族を亡くした市民などに配布するリーフレット「死亡届にともなう手続き」を修正し、「お子さまが亡くなった場合」などの説明を加えた。「市役所の窓口で何度も同じ話をするのがつらかった」-。幼いわが子を失った1人の母親の声を聞き、法制度を変えなくてもできる遺族への寄り添い方を市職員と母親らが模索し、書き加えた。

 リーフレットはA4判裏表で、死亡に伴い必要な保険証や年金、医療助成、児童手当などの関連手続きや窓口を案内している。修正は子ども本人が亡くなった場合を想定し、「返却して」とだけ記載していたこども医療費受給者証は「返却不要」、「変更が必要」とあった児童手当の届は「届出不要」などと加筆した。

 市が改めて調べたところ、保護者ではなく子本人が亡くなった場合、同受給者証は必ずしも返却しなくて済むこと、児童手当の届は住民基本台帳ネットワークを踏まえ市役所の職権で対応できることなどが確認できたからだ。

 昨年10月、生後5カ月で亡くなった女児の存在がきっかけとなった。同年4月、同市内の病院で誕生したが先天性の病気があり県央の子ども医療センターに入院。集中治療室で家族との時間を重ね、永い眠りに就いた。

 「こども医療などの受給者証は本人が頑張った証。手元に残したい」。母(39)はそんな思いを抱き約1カ月後、リーフレットの手続きのため市役所を訪れた。こども医療や児童手当、障害福祉の窓口…。ある窓口では隣に元気な母子の姿。職員に説明を繰り返すうち涙があふれてきた。

 「こんな思いはもう1人もさせたくない」。母と手続きに付き添った友人女性は市と掛け合い今年2月、関係する市民、障がい福祉、児童家庭の3課長と話し合う場を持った。

 話し合いは約2時間。「生の声を聞き、必要な対応があることが改めて分かった」。斎五沢悦子(さいごさわえつこ)市民課長(59)は振り返る。同市に出される未成年の死亡届は年間10人足らず、1歳未満は数人。遺族の声に触れる機会がなかった。

 3課でリーフレットの手続きや表記を再検討。修正案の段階で女児の母たちにも見せて、意見を聞いた。

 「『寄り添う支援』などという言葉が頻繁に使われやすいが、考えてほしいのは寄り添い方。当事者目線を予想するのではなく、ぜひ実際の声を聞いて考えてほしい」。女児の受給者証は今、家族の元にある。

 市は4月、今回の事例で窓口対応の姿勢を学ぶ職場研修を行った。平山忍(ひらやましのぶ)生活環境部長(55)は「窓口に来る市民にはそれぞれの思いがある。心情に寄り添ったサービスが大切という職員の原点に返った」と話す。

 市の「寄り添い方」に触れ、女児の母は願う。「一つでも、一人でも多くの行政窓口、職員に広がり、住民を支えてほしい」