ゆったり湯船に漬かっていると、メロディーを口ずさむことがある。昔のフォークソングが多く、その時々の時代背景が鮮やかによみがえってくる。まさに「歌は世につれ世は歌につれ」である▼CDを聴いたりカラオケに興じたり。楽器を奏でる人も多いだろう。音楽は心を癒やし、人生に彩りを添える。そんな音楽には、実は高齢者の健康維持や生活の質の向上に役立つ力があるのだという▼「人生100年時代 地域における音楽療法の実践から」をテーマに掲げた先日の宇都宮市民大学。宇都宮短大講師で音楽療法士の大島美知恵(おおしまみちえ)さんは「音楽は身体運動を誘発するし、情動に直接働き掛け、知的活力も促す」と、いくつもの治療特性を有することを指摘した▼具体例として挙げたのが、高齢者に懐メロを歌ってもらうことで、認知機能や情緒面で効果があったケース。さらに、転倒予防を目指した音楽訓導プログラムの実証例も報告した▼大島さんは短大で教える傍ら、県内各地の高齢者施設に出向き、音楽療法を手ほどきする活動に取り組む。だが先進地の神奈川県などと比べ、まだまだ普及は進んでいないとも▼「勇気を失うな。くちびるに歌を持て。心に太陽を持て」は、ドイツの詩人の作品を山本有三(やまもとゆうぞう)が訳した。歌は生きる勇気だけでなく、高齢者の元気の糧ともなる。