青空の下、稼働する小田原メガソーラー市民発電所の太陽光パネル。地域を挙げたエネルギー地産地消の挑戦が続いている=5月10日、神奈川県小田原市

 街の中心部から車で15分。西に箱根の外輪山を望む神奈川県小田原市の山林に、4千枚余りの太陽光パネルが整然と並ぶ。

 5月上旬、小田原メガソーラー市民発電所。2014年10月に完成したこの発電所を手掛けたのは、地元企業など38社でつくった「ほうとくエネルギー」で、建設にはファンドを創設して出資を募り、市民ら約180人が応じた。17年に増設し、発電容量は計1700キロワットに上る。

 「オール小田原。地域の経済界、市民、行政が一緒にやれるのが強み」。賛同者の一人で、市内で農業と太陽光発電の両立に取り組む小山田大和(おやまだやまと)さん(39)が、銘板に記された市民と企業の名前を指さした。

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 挑むのは、地域主体によるエネルギーの地産地消。地元を代表する老舗企業「鈴廣かまぼこ」副社長の鈴木悌介(すずきていすけ)さん(63)が旗振り役となって進めてきた。

 ほうとくの太陽光発電所などが再生可能エネルギー由来の「ご当地」電気を発電し、14年に設立した電力会社「湘南電力」がその電力を優先的に買い取る。そして地元のガス会社2社が代理店として一般に小売りする、という仕組みで挑戦を続ける。

 小田原市は、温暖化対策などを目的に再生エネの利用を促進する条例や計画を作るなどして後押しした。

 「気候変動はもう身の回りの問題。持続可能な地域は持続可能なエネルギーで実現する」。鈴木さんは東日本大震災を機に、原子力発電所やエネルギーの在り方を考え直したという。市民の電気代が地元で回れば、地域経済の活性化になるとも考えている。「小さくても地域の現場を変え、それがつながれば日本は変わる」との思いは強い。

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 県内でも地元の再生エネを使い、地域で温暖化対策を進めてきた団体がある。

 ホテルや旅館などでつくるNPO法人「那須地域地球温暖化対策協議会」。温泉の熱を給湯や暖房に利用するなどして、二酸化炭素(CO2)の排出削減につなげている。

 きっかけは、記録的な集中豪雨により県内で7人の死者、行方不明者が出た1998年の那須水害だった。「温暖化が進めば、異常気象が頻発すると考えた」。理事長の稲川裕之(いながわひろゆき)さん(57)は振り返る。

 2006年から活動を始め会員は現在、個人と団体合わせて30ほど。このうち温泉供給会社「新那須温泉供給」は、温泉の排湯の熱をヒートポンプで活用し、灯油などの使用量を減らす。CO2排出量はピークだった95年に比べ、約1200トン削減できたという。

 2年ほど前には、沸点が低い代替フロンを温泉熱で加熱、蒸気にしてタービンを回す、ホテルサンバレー那須の「バイナリー発電所」の企画、設計も協議会として手掛けた。

 温泉熱利用は、燃料代などのコスト削減にも直結する。「地球にやさしいことは、皆さんの財布にもやさしい」。稲川さんの持論だ。