横断歩道で立ち尽くす初老の男性。申し訳なさそうな表情でこちらを見るその姿に、本紙16日付1面の記事を思い出した。

 場所は県庁と宇都宮市役所を結ぶシンボルロード。本町交差点北側の横断歩道で、歩行者を前に一時停止したときのことだ。

 こちらが止まっても、何事もないかのように次々通過する対向車。男性は、逆にこちらを「待たせている」と気遣っていたのだろう。

 本県は信号機のない横断歩道で車が一時停止した割合の調査で、全国最下位だという。そこで県警と県交通安全協会が、一時停止の啓発動画を制作した。動画はウイットに富んでいるが、現状を考えれば笑ってもいられない。

 車内で「どうぞ」と言いながら、手で横断を促す。ほほえんでゆっくり歩く高齢者もいれば、会釈してそそくさと渡る高校生、「バイバイ」と手を振る子どももいた。私が免許取得後から心掛ける「車窓越しの会話」は、どんなときも不思議と心を軽くしてくれる。

 せわしない毎日だからこそ、歩行者の前で心のブレーキを踏みたい。「会話」が広がれば、少しでも悲惨な事故が防げるのではなかろうか。